さくらんぼ計算のやり方と教え方|小1の繰り上がり・繰り下がり

1年生の算数では、9+4や13−9のような繰り上がり・繰り下がりのある計算を、数を2つに分けて考えます。このやり方は、「さくらんぼ計算」と呼ばれることがあります。

この記事では、さくらんぼ計算が何をしているのか、学校ではどう教えるのか、家ではどこを見ればよいのかを、学習指導要領解説と教科書会社の年間指導計画で確かめた範囲でまとめます。

さくらんぼ計算とは:10のまとまりを使って計算する

さくらんぼ計算は、数を2つに分けて、10をつくったり、10のまとまりからひいたりして答えを出すやり方を、図で書き表したものです。

  • 9+4:9は、あと1で10。4を1と3に分ける。9と1で10、10と3で13。
  • 13−9:13を10と3に分ける。10から9をひいて1。1と3で4(解説にも同じ13−9の例があります)。
さくらんぼの図の例。たし算9+4は、後ろの4を1と3に分け、9と1で10、10と3で13。ひき算13−9は、13を10と3に分け、10から9をひいて1、1と3で4。10をつくる・10からひくのに使う数を青、のこりの数を緑で示している。

分けた2つの数を線でつないで丸で囲むと、さくらんぼのような形になります。ただ、この記事で確かめた資料(学習指導要領解説 算数編、東京書籍・教育出版の1年の年間指導計画)には「さくらんぼ」という言葉は出てきません。計算の仕方は、「加数分解」「被加数分解」「減加法」「減々法」といった言葉で書かれています。

なぜ10をつくるのか

学習指導要領は、1年生の「数と計算」で、「数を,十を単位としてみること」「一つの数をほかの数の和や差としてみるなど,ほかの数と関係付けてみること」、そして「1位数と1位数との加法及びその逆の減法の計算が確実にできること」を挙げています。

学習指導要領解説 算数編は、繰り上がり・繰り下がりのある計算について、次のように説明しています。

和が10より大きい数になる加法及びその逆の減法は,「10とあと幾つ」という数の見方や計算の意味に着目し,数を分解して足したり,引いたりすることで,既習の計算が使えるようになる。

9+4の答えをいきなり出すのではなく、「9と1で10」「10と3で13」のように、それまでに習った計算に分けて考える、ということです。

そのための準備として、解説は、一つの数をほかの数と関係付けてみることを挙げ、例として「8を10に関係付けて,8は10より2小さいとみたり,式で10−2と表したりすること」で、このような見方は「加法,減法の計算における繰り上がり,繰り下がりについての理解の素地として重要な内容である」としています。「あといくつで10」がわかることが、さくらんぼ計算の入口です。

たし算の主な分け方は2通り

解説は、たし算の主な計算の仕方として、「加数を分解する場合と被加数を分解する場合がある」としています。8+7の例です。

  • 後ろの数(加数)を分ける:7を2と5に分けて、8と2で10、10と5で15。
  • 前の数(被加数)を分ける:8を5と3に分けて、3と7で10、10と5で15。

東京書籍と教育出版の1年の年間指導計画では、どちらも後ろの数を分けるやり方から始めています。

  • 東京書籍:9+4で「加数を分解して計算する方法(加数分解)」を学び、そのあと3+9で「被加数を分解して計算する方法(被加数分解)があることを知」る流れです。
  • 教育出版:9+4で加数分解を学び、そのあと「7+9の計算のしかたを、加数分解、被加数分解で考える」流れです。

3+9のように前の数が小さいときは、3を2と1に分けて「1と9で10、10と2で12」と考えることもできます。

ひき算の主な分け方も2通り

ひき算について、解説は12−7の例で次の2つを挙げています。

  • 減加法:「(10−7)+2のように10から7を引いて,残り2を加える」。12を10と2に分けて、10から7をひいて3、3と2で5。
  • 減々法:「(12−2)−5のように順々に引いていく方法」。7を2と5に分けて、12から2をひいて10、10から5をひいて5。

どちらを中心にするかについて、解説は「どちらを主にして指導するかは,数の大きさに従い柔軟に対応できるようにすることを原則とするが,児童の実態に合わせて指導することが大切である」としています。

年間指導計画では、東京書籍は13−9で減加法を学んだあと、12−3で「減数を分解して計算する方法(減々法)があることを知」る流れです。教育出版も12−9で減加法から始め、「12-3の計算のしかたを、減加法、減減法で考える」としています。12−3のようにひく数が小さいときは、3を2と1に分けて「12から2をひいて10、10から1をひいて9」と考えることもできます。

学校で習う時期

東京書籍と教育出版の令和6年度の計画では、繰り上がりのたし算・繰り下がりのひき算は1年の10〜11月に置かれています。

項目 東京書籍 教育出版
たし算の単元 たしざん たしざん
たし算の時期 10月上旬〜中旬 10月下旬〜11月上旬
ひき算の単元 ひきざん ひきざん
ひき算の時期 11月上旬〜下旬 11月中旬〜下旬

どちらも令和6年度の年間指導計画です。実際に扱う時期は学校によって異なります。ほかの教科書会社の計画は、この記事では確かめていません。

家での教え方

ここからは編集部の提案です。学校で習ってから、次の順で確かめると、どこで止まっているかがわかります。

  1. 「あといくつで10」がわかるか:9なら1、8なら2、7なら3。ここで迷うなら、さくらんぼの前に10の合成・分解に戻ります。遊び方は10の合成・分解を遊びでにまとめています。
  2. おはじきやブロックで動かす:9個と4個を並べ、4個のうち1個を9個の側に動かして10をつくる。解説も、1年の「数と計算」で「ブロックや数え棒といった具体物や図などを使って数の数え方や計算の仕方を考えたり,その過程を表現したりすることを重視する」としています。
  3. 言葉にする:「9はあと1で10。4を1と3に分けて、10と3で13」と、手順を声に出します。
  4. 図に書く:最後にさくらんぼの図を書きます。図は、頭の中でした分け方を紙に書き出したものです。

ひき算も同じ順で、「13を10と3に分ける」「10から9をひく」「1と3をあわせる」をおはじきで確かめてから、図に書きます。解説は、繰り上がりのたし算の仕方を、繰り下がりのある減法の計算の仕方の学習にも生かせるようにする、としています。たし算で10をつくる感覚があると、ひき算の10からひく考え方にもつながります。

つまずいたとき

これも編集部の提案です。

  • さくらんぼの図を書くのをいやがる・書かずに答えが出る:学校で図を書くように言われているときは、学校のやり方に合わせてください。家では、図を書くことより「どう考えたか」を言葉で聞くと、10をつくって考えているかがわかります。
  • 分け方をまちがえる(9+4で4を2と2に分ける、など):「9はあといくつで10?」に戻ります。4をどう分けるかは、9が10になるのに足りない数(1)で決まります。
  • ひき算で、どちらから分けるかわからなくなる:東京書籍と教育出版の計画では、最初に習うのは10からひくやり方(減加法)です。まずそれで確かめ、12−3のようにひく数が小さいときの分け方は、学校で習ってから、学校の進み方に合わせて確かめます。家で2つを同時に教えなくて大丈夫です。
  • 時間がかかる・指で数える:すぐに速さを求めなくて大丈夫です。おはじきで10のまとまりを見ながら、同じ問題を何回か繰り返します。

指を使ってもいい?

学習指導要領解説の1年の部分を確かめた範囲では、指を使うことについての記述は見当たりませんでした。解説が重視しているのは、ブロックなどの具体物や図を使って計算の仕方を考えることです。

家では、指でも、おはじきでも、10のまとまりと残りが見えていれば、考え方は同じです(編集部の提案)。学校での扱いは、担任の先生の方針もあります。気になるときは、学校での扱いを先生に聞いてください。

無料プリントで練習する

数を数える・比べる段階の遊びは数の概念を育てる遊び、1年生の算数で習うこと全体は算数で習うことにまとめています。

出典